高齢者施設は24時間体制で利用者をサポートすることが必要で、夜勤をおこなう介護職は欠かせません。一般的に「収入が低い」といったイメージが強い介護職ですが、夜勤なら給料・時給が高く、高収入を目指すこともできます。
では、介護職の夜勤は実際にどれぐらいなのでしょうか。ここでは、介護職の夜勤手当など収入面について解説していきます。
目次
介護の夜勤手当とは
そもそも、介護における夜勤手当とはどのようなものなのでしょうか。
労働基準法で定められているものではない
「夜勤手当」は労働基準法で定められたものではなく、介護施設を運営する企業には支払いの義務はありません。つまり、「夜勤手当」を支払うかどうかは雇用側が独自に決めることができ、支払わなくても法的に問題はないということです。
一方、似た名称で「深夜手当(深夜割増賃金)」と呼ばれるものがあります。こちらは労働基準法で定められており、不払いが生じた場合は労働基準法違反となります。さらに、8時間を超えて労働した場合は時間外割増が支払われることになります。
- 深夜割増賃金・・・22時から5時までの間に勤務した場合25%以上の割増
- 時間外割増賃金・・・法定労働時間(1日8時間)を超えた場合25%以上の割増
介護の「夜勤手当」は、労働基準法で定められた額に、企業が任意に上乗せした手当てとなります。
施設によって夜勤手当額は変わる
夜勤手当の支給額は施設によって違いがあります。
- 施設の種類・規模による違い
- 企業による違い
高齢者の介護施設は種類が増え、公的施設・民間施設の違いはもちろんのこと、施設の体制や規模、勤務形態によっても変わってきます。また、企業によっても法律で定められた以上の夜勤手当を支払うかの規定に違いがあります。
【介護の夜勤手当相場】正規職員の場合
では、介護職の正規職員の場合、夜勤手当の相場はどれぐらいなのでしょうか。正規職員と非正規職員との違いはあるのでしょうか。
日本医療労働組合連合会が発表した「2020年介護施設夜勤実態調査結果」から、夜勤手当の最高額や最低額、平均額を施設の種類ごとに見ていきましょう。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は要介護3以上の方を受け入れている公的な介護保険施設で、50名を超える中~大規模の施設がほとんどです。施設数は全国に8,000ヵ所以上あります。
在宅生活が困難となった高齢者のための施設で、身体状況や認知症の程度は中度~重度者となり、生活全般の介助が必要な方が大半となります。
機能訓練や日常的な生活介助(食事、入浴、排せつなど)をおこない、落ち着いた生活が維持できるようケアをしていきます。夜勤手当は5,000~8,000円で平均額は6,004円です。
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は要介護認定を受けた高齢者が医療ケアとリハビリを中心にサポートを受け、在宅復帰を目指す施設です。介護職・看護師などのほかに医師が常駐しています。入居は短期間で、3~6ヵ月程度で施設を退所して在宅生活に移行していきます。
老健では入居されている方の状態により夜間の配置人数が変わってきます。また、医療依存度の高い方が入居するため、9割近くの施設では夜間でも看護師が配置されます。施設数は全国に4,300ヵ所以上。夜勤手当は5,000~12,900円で平均額は7,740円です。夜勤手当では老健が一番高くなっています。
グループホーム
グループホームは、認知症の診断を受けた方が少人数で共同生活をし、落ち着いた生活が過ごせるよう介護職などが支援する施設です。入居者9名ごとのユニット制で、多くても2ユニットまでとされているため、特養や老健と比べると対象人数が少ないのが特徴です。
夜勤は基本的に1ユニット1名体制となります。施設数は全国に13,600ヵ所以上ありますが、今後認知症の高齢者は増えることが見込まれるため、施設の数も増加しています。
夜勤手当は4,000円~9,627円で平均額は5,386円。老健の次に夜勤手当額が高くなっています。グループホームは夜勤があるかないかで給料の幅に開きがあるので、よく確認してみましょう。
単独型短期入所(ショートステイ)
ショートステイは、在宅で暮らす要介護認定を受けた高齢者が短期間入居できる、定員20名以上の施設です。利用者は施設で日常生活上の介護や機能訓練を受けることができます。
在宅介護を担うご家族の休息を確保する意味で利用されることもあり、今後ますます需要の拡大が見込まれるサービスです。施設数は併設型も含め全国11,542ヵ所あります。夜勤手当は5,000円~10,600円で、平均額は7,608円です。
小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、利用者が可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活を送れるよう、「通い」を中心に「訪問」「宿泊」を組み合わせて利用ができる地域密着型サービスです。施設数は全国に5,500ヵ所以上あります。夜勤手当は3,500~10,600円で、平均額は6,543円です。
業態 | 平均額 | 最高額 | 最低額 |
特別養護老人ホーム | 6,400 | 8,000 | 5,000 |
老人保健施設 | 7,740 | 12,900 | 5,000 |
グループホーム | 5,386 | 9,627 | 4,000 |
単独型短期入所 | 7,608 | 10,600 | 5,000 |
小規模多機能型居宅介護 | 6,543 | 10,600 | 3,500 |
参照:日本医療労働組合連合会 2020年介護施設夜勤実態調査結果
【介護の夜勤手当相場】非正規職員の場合
次に非正規職員の夜勤手当の相場を見ていきましょう。
非正規職員とは、「パートタイマー」「アルバイト」「契約社員」「派遣社員」などを指します。正規職員と業務内容は変わりませんが、非正規職員の夜勤手当のほうが低い施設もあれば、正規職員以上に手当が支給されている施設もあります。
非正規職員の手当額は、時給に含まれる場合や、手当てとして別に支払われることがあり、支給方法にばらつきがあります。そのためあくまでも参考値となります。
業態 | 平均額 | 最高額 | 最低額 |
特別養護老人ホーム | 11,333 | 21,000 | 5,000 |
介護老人保健施設 | 9,098 | 20,000 | 5,000 |
グループホーム | 5,169 | 8,346 | 4,000 |
単独型短期入所 | 7,329 | 10,600 | 5,000 |
小規模多機能型居宅介護 | 7,087 | 10,600 | 5,000 |
参照:日本医療労働組合連合会 2020年介護施設夜勤実態調査結果
夜勤手当の最高額では老人保健施設が最も高く、グループホームの最高額との差が3,000円以上ありました。夜勤1回あたりの差が3,000円の場合、月4回の夜勤では12,000円の差となりますので、夜勤で高収入を得たい方にとってはぜひチェックしておきたいポイントです。
給与
|
パート・アルバイト 日給 24,000円~24,000円 |
---|---|
勤務時間
|
21:00~翌9:00 |
仕事内容
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府中市にある男性のご利用者様のお宅に訪問して身体介護、生活援助をお願いいたします。 (勤務時間:月曜日の21:00~火曜日の9:00) ※別室で仮眠もできます。 |
住所
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東京都 町田市 小山町2598-5 メゾンファミーユⅤ101 京王相模原線 多摩境駅 から徒歩6分 |
介護の夜勤手当を含むと月収どれくらいになる?
介護夜勤の勤務体制には主に2交代制と3交代制があります。2交代制は16時間勤務、3交代制は8時間の夜勤となりますが、双方でどの程度収入に差が出るのか、月収例も含めてみていきましょう。
【介護夜勤の月収例】2交替制勤務の場合
2交代制勤務は日勤と夜勤が交代で業務にあたる体制で、一回の夜勤時間が16時間に及びます。その長さに驚かれるかもしれませんが、労働基準法で定められている「変形労働制」を採用すると16時間以上の勤務でも違法にはなりません。
2交代制勤務例
日勤9:00~18:00(8時間勤務:休憩1時間)
夜勤17:00~翌11:00(16時間勤務:休憩2時間)
2交替の給料例(正社員・夜勤月5回程度)
特別養護老人ホーム 月給:215,000~273,000円(夜勤手当:5,000円)
グループホーム 月給:220,000~251,000円(夜勤手当:6,000円)
小規模多機能型居宅介護 月給:213,000~231,000円(夜勤手当:6,000円)
施設によっては月5回以上の夜勤でさらに金額がアップされる場合もあります。
【介護夜勤の月収例】3交代制勤務の場合
3交替勤務は日勤、準夜勤、深夜勤と勤務時間帯が3つに分かれています。準夜勤は夕方から深夜まで、深夜勤は深夜帯を中心とした勤務となります。また、1回の勤務時間は約8時間と決められています。
3交代制勤務例
日勤8:00~17:00:00(8時間勤務:休憩1時間)
準夜勤16:00~翌1:00(8時間勤務:休憩1時間)
深夜勤0:30~9:30(8時間勤務:休憩1時間)
3交替勤務の給料例(正社員・夜勤月5回程度)
特別養護老人ホーム 月額:195,000~215,000円(準夜勤手当:2,000円、深夜勤手当:3,000円)
グループホーム 月額:200,000~280,000(準夜勤手当:6,000円)
小規模多機能型居宅介護 月額:200,000~250,000円(準夜勤:5,000円・深夜勤手当:6,000円)
2交代制勤務による夜勤は8割以上の施設でおこなわれており、3交代制勤務の割合は少ないのが現状です。原因は人手不足ですが、少しずつ改善傾向にもあり、それに伴って3交替勤務の割合も増えてきています。求人情報を見る際には勤務時間と勤務形態をよく確認しましょう。
1日目 | 2日目 | 3日目 | |
8時間夜勤 | 夜勤入り | 夜勤明け | 休日・または出勤 |
16時間夜勤 | 夜勤入り | 夜勤明け | 休日 |
2交代制勤務のメリットとしては、一回の勤務が長時間になるため同じ週に休日が増え、連休が比較的取りやすい点が挙げられます。
未経験でも介護夜勤はできる?
ここでは、未経験からでも介護夜勤に就くことができるのかについて解説します。
まずは日勤からスタートするのが一般的
基本的に夜勤は少人数体制で複数の利用者をケアしていきますが、グループホームや小規模多機能型居宅介護などの規模の小さい事業所では一人で夜勤をおこなうケースも多くあります。
そのため、経験と知識・技術を身につけてからでなければ夜間に生じるトラブルや利用者の体調の急変に適切に対処できません。まずは日勤で必要なスキルを習得し、対応可能な業務の幅を徐々に広げていくことが必要となります。
逆に夜勤の経験しかない場合は、利用者の「昼の状態を知らない」ことになります。たとえば認知症の方が興奮して大きな声を出したり拒否が強くなったりしたような時も、普段の状況を知っているうえでアプローチするほうが対応しやすいはずです。
夜勤に不安なく責任をもってあたるためには、まず日中の勤務から始めたほうが、施設業務の流れや利用者の日中の過ごし方もわかるため、安心・安全な夜勤ができるのです。
未経験者でも働きやすい施設は?
介護職として未経験からスタートする場合は、教育体制の整っている大規模施設や大手企業を選ぶことをおすすめします。介護職は未経験・無資格からチャレンジできる職種ですが、専門的な知識・技術が必要なため、入職してすぐにスキルを身につけるのは難しいのが現実です。
入職後に不安や悩みを抱えないように、初めは着実に介護スキルを身につけられる特養や老健などの大規模施設や、大手企業が運営する施設を選ぶようにしましょう。
もちろん、求人を探す際には「未経験者可」「無資格OK」の記載があるかどうかをチェックしましょう。未経験者や無資格でも受け入れを積極的におこなっている施設なら、初心者でもしっかりと教育していく体制が整備されている可能性が高く、安心して介護スキルを身につけられるでしょう。
なお、最近増えている求人に夜勤専従の介護職がありますが、これは無資格・未経験ではおこなえません。
資格の取得で選択肢が広がる
介護資格の入門編ともいえる「介護職員初任者研修」の資格を先に取得すると就職に有利に働きます。介護の基礎が身につくだけでなく、資格保持者となることで信頼も得られます。
無資格から求人を探す場合は、福利厚生の一環として「資格取得支援制度」が設けられているかどうかも重要なポイントとなります。働きながら介護に関する資格を取得できるよう、企業が金銭補助などをおこなう制度です。
このような制度があると、未経験でも目標を持って効果的にスキルを伸ばしていくことができます。社内研修や教材費を補助するシステムを整備している企業もあります。
介護職は、将来に向けて専門性を高めたり、マネジメント技術を身につけたりすることで管理職を目指すこともできるなど、将来のキャリアプランを描きやすい職種です。そうしたプランを実現するためにも、資格の取得はぜひ念頭に置いておきましょう。
介護の夜勤求人の探し方
では、介護夜勤の求人はどのように探せばよいのでしょうか。
無料求人誌
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ただし介護専門サイトではないため、情報不足であったり掲載数が充実していなかったりする場合もあります。
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夜勤手当は月の給料を大きく左右する要素であり、高収入が見込まれるため仕事のモチベーションにもつながります。慣れてくれば介護の夜勤専従として働くことも可能です。
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