介護職員等ベースアップ等支援加算とは?対象職種や加算率、算定要件を解説

 

介護職員の処遇を改善する目的で創設された制度は複数ありますが、中でも注目すべき制度が介護職員等ベースアップ等支援加算です。

介護職員等ベースアップ等支援加算とはどのような制度なのか、特徴や対象職種、算定要件などについて解説します。

介護職員等ベースアップ等支援加算とは?

介護職員等ベースアップ等支援加算とは、介護職員等の処遇を改善することを目的に2022年の臨時介護報酬改定で創設された制度のことです。具体的には、介護職員1人あたり3%程度(月額平均9,000円相当)収入を引き上げるといった内容になっています。

これまでにも、介護職員の賃金改善を目的とした「介護職員処遇改善加算」や「介護職員等特定処遇改善加算」といった制度はありましたが、介護職員等ベースアップ等支援加算はこれらとは別に、上乗する形で実施されています。

なお、介護職員等ベースアップ等支援加算が創設された目的として、新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる状況の中、看護や介護などの分野において最前線で働く方々の収入を引き上げ、全職員を対象に公的価格の在り方を抜本的に見直すといったことが挙げられます。

介護職員等ベースアップ等支援加算の対象職種と加算率

介護職員等ベースアップ等支援加算の対象職種は、基本的に「介護職員」となっていますが、「その他の職員」についても、各事業所の判断によって配分を行えることが認められています。

ただし、介護職員等ベースアップ等支援加算は、大前提として介護職員の処遇改善を目的としているため、その点には留意が必要です。

サービス区分ごとの加算率は、以下のようになっています。

〇現行の介護職員処遇改善加算等と同様、介護サービス種類ごとに、介護職員数に応じて設定された一律の加算率を介護報酬(※1)に乗じる形で、単位数を算出。

サービス区分(※2) 加算率
・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
2.4%
・(介護予防)訪問入浴介護
・通所介護
・地域密着型通所介護
1.1%
・(介護予防)通所リハビリテーション 1.0%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
1.5%
・(介護予防)認知症対応型通所介護
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護
2.3%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
1.7%
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・(介護予防)短期入所生活介護
1.6%
・介護老人保健施設
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)
0.8%
・介護療養型医療施設
・(介護予防)短期入所療養介護(病院等)
・介護医療院
・(介護予防)短期入所療養介護(医療院)
0.5%

※1 現行の処遇改善加算等の単位数は、基本報酬に、処遇改善加算及び特定処遇改善加算以外の加算・減算を加えた単位数に、加算率を乗じて算出。
※2 (介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、(介護予防)居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援は加算対象外。

出典:令和4年度介護報酬改定について

介護職員等ベースアップ等支援加算の算定要件

介護職員等ベースアップ等支援加算の算定要件は、以下のように定められています。

  • 処遇改善加算(I)~(III)のいずれかを取得していること
  • 賃上げ効果の継続に資するよう、加算額の2/3は介護職員のベースアップ等に使用するこ

まず、第一に既存の処遇改善加算のいずれかを取得している必要があります。その上で、今回の加算は月額で賃金をアップすることを目的としているため、加算総額の3分の2以上を基本給または、毎月支払われる手当の引き上げに使用する必要があります。

介護職員等ベースアップ等支援加算を申請するには

出典:令和4年度介護報酬改定について

介護職員等ベースアップ等支援加算を取得するためには、介護事業所から都道府県に処遇改善計画書等を提出する必要があります。その後、都道府県から報酬による支払いが行われる形です。

なお、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得して賃金が改善された後は、処遇改善実績報告書を提出する必要があります。各都道府県や市区町村のホームページで、申請書類などを入手できるため、事前に確認しておきましょう。

介護職員等ベースアップ等支援加算に関するQ&A

最後に、厚生労働省労働省より過去に公開された介護職員等ベースアップ等支援加算に関するQ&Aについて紹介します。


Q:令和4年2月分から賃金改善を行うことが交付要件とされているが、令 和4年2月分及び3月分の賃金改善は一時金で対応したとしても、4月分以 降は毎月賃金改善を行うことが必要か。

A: 本補助金については、賃金改善が賃上げ効果の継続に資するよう、賃金改善の合 計額の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げに充て ることを交付要件としている。 そのため、令和4年2月分及び3月分の賃金改善は一時金で対応した場合であ っても、令和4年4月分以降は、ベースアップ等による毎月の賃金改善を行うこと が必要となる。


Q:ベースアップ等による賃金改善を開始した後に、利用者が想定よりも増 えるなど、補助金の受給額が計画書作成時の見込額を上回り、ベースアップ等 に充てるべき額が増加した場合、必要に応じて再度就業規則等を改正し、基本 給又は決まって毎月支払われる手当を更に引き上げることが必要か。 

A:貴見のとおり


Q:時給や日給を引き上げることは、ベースアップ等の引上げにあたるか。

A: 基本給が時給制の職員についてその時給を引き上げることや、基本給が日給制 の職員についてその日給を引き上げることは、ベースアップ等の引上げに当たる。


Q:令和4年2月及び3月に一時金で賃金改善を行った場合、同年4月から 9月までの6か月間においてベースアップ等に係る要件を満たしていればよ いか。もしくは、同年2月から9月までの8か月間全体で当該要件を満たして いる必要があるか。

A:4年2月及び3月に、ベースアップ等以外の賃金項目について賃金改善を 行った場合であっても、同年2月から9月までの8か月間全体の賃金改善額の3 分の2以上はベースアップ等に充てられている必要がある。


Q: ベースアップ等に係る要件については、「介護職員」と「その他の職員」 のグループごとに満たす必要があるか。 

A:貴見のとおり。


Q:賃金改善実施期間における賃金改善額について、「当該賃金改善に伴う法 定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる」とされているが、法定 福利費等の事業主負担の増加分は、ベースアップ等による賃金改善に含めて よいか。

A: 法定福利費等の事業主負担の増加分については、ベースアップ等による賃金改 善には当たらないが、介護職員処遇改善加算等と同様に、ベースアップ等に充てた 額以外の分として賃金改善に含めることは可能である。


Q: 賃金改善額の3分の2以上をベースアップ等に充てることが要件とされ ているが、ベースアップ等に充てた額以外の分について、用途制限はないの か。

A: 賃金改善実施期間全体で、補助金の合計額を上回る賃金改善を行うことが必要 であるため、ベースアップ等に充てた額以外の分についても、賞与や一時金等によ る賃金改善に充てなければならない。


Q:「決まって毎月支払われる手当」とはどのようなものか。

A:決まって毎月支払われる手当には、労働と直接的な関係が認められ、労働者の個 人的事情とは関係なく支給される手当を含むが、以下の諸手当は含まない。

・ 月ごとに支払われるか否かが変動するような手当

・ 労働と直接的な関係が薄く、当該労働者の個人的事情により支給される手当 (通勤手当、扶養手当等)


Q:就業規則等の改正が間に合わず、本年4月以降にベースアップ等による 賃金改善が実施できない場合は本補助金の対象外となるのか。 

A:貴見のとおり。

出典:介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月31日)

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