介護職はすぐ辞める人が多い?理由やすぐ辞める人の特徴、辞め方も紹介

 

「介護職は離職率が高そうだけど実際はどうなの?」

この記事では、そのようなあなたの疑問を解消します。また、離職の要因を労働者側と事業主側の両面から見ていきます。別の介護事業所に転職したい人や新たに介護職に挑戦したいと考えている人はぜひ最後までご覧ください。

介護職はすぐ辞める人が多い?

まずは、介護職の離職率とその具体的なケースについて見てみましょう。

介護職の離職率

厚生労働省が実施した令和2年度の「雇用動向調査」の結果、離職率は以下のようになっています。

雇用動向調査の結果(令和2年)

産業全体 14.2%
宿泊業、飲食サービス業 26.9%
生活関連サービス業、娯楽業 18.4%
医療、福祉 14.2%
金融業、保険業 7.7%

雇用動向調査において介護職は「医療、福祉」に属しており離職率は14.2%です。これは産業全体の平均と同じ数値となっています。

また、この表からは「宿泊、飲食サービス業」が26.9%と「医療、福祉」の2倍近い離職率となっていることもわかります。この結果を見ると「医療、福祉」の離職率は際立って高いとはいえないでしょう。

実は、かつて介護職の離職率は20%を超えていたときもありました。その時代のイメージが今も残っているのかもしれませんが、近年の介護職の離職率は低下傾向にあるのです

勤務初日にすぐ辞めるケース

勤務初日の仕事例

介護の仕事は大きく分けて身体介護と生活援助があります。両者の違いは以下の通りです。

  • 身体介護…食事、入浴、排泄などの介助のほか利用者の動作を伴う行為をサポート
  • 生活援助…掃除、洗濯、食事の用意、買い物など利用者の身の回りをサポート

勤務初日には施設内の説明や職員、利用者への挨拶、ルール説明などが中心で、それが終わると利用者の生活援助をおこなうことが多いです。初日から身体介護を担当することはほとんどありません。

勤務初日で辞めると給料はどうなる?

勤務初日で辞めたとしても、数時間でも労働していれば事業主にはその時間に応じた給料を支払う義務があります。その根拠は、労働基準法第24条の賃金支払いの5原則の一つ「全額払いの原則」です。

勤務初日で辞めるケースとしてはさまざまな理由が考えられますが、実際の仕事と想像していた仕事に大きなギャップを感じてしまい「私には無理だ」と思ってしまう人も多いようです。

しかし、たとえ勤務初日で辞めたとしても労働者には労働時間に応じた賃金を請求する権利があります。もし事業主が支払いに応じない場合には管轄の労働基準監督署に相談しましょう。

1ヶ月程度で辞めるケース

介護職を辞める理由として最も多いのが「職場の人間関係」です。厚生労働省が発表した「介護労働の現状」によると、令和元年度に介護職を離職した人の離職理由トップ3は以下のようになっています。

  • 職場の人間関係に問題があったため…2%
  • 結婚・妊娠・出産・育児のため…4%
  • 事業所等の理念や運営のあり方に不満があったため…4%

勤務初日に辞めるとまではいかなくても、一ヵ月ほど様子を見てから辞める決断をする人もいるようです。一ヵ月も勤務していれば、その職場の労働条件等についてもみえてきます。

「介護労働の現状」では労働条件等の悩み・不安・不満などについても調査しており、トップ3は以下のようになっています。

  • 人手が足りない…7%
  • 仕事内容のわりに賃金が低い…8%
  • 身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)…5%

これを見ると、介護職として働く多くの人が人手不足であることに不満を抱えていることがわかります。特に規模が小さい事業所ではこの傾向が強く、新人に対して十分な教育が確保できていないケースもあります。このような理由から一ヵ月ほど経ってから辞める人が一定数いるのです。

1ヶ月程度働いた場合の仕事例

未経験から介護職として入社して一ヵ月程度働いた頃は、まだ基本的な業務の理解に努めるべき時期です。しかし、人手が足りていない事業所の場合には先輩職員と同じような業務遂行を求められることもあります

  • 入社して一ヵ月目のAさんの事例

Aさんは入社して一ヵ月ほど経った頃、まだ仕事の基本をすべて学んでいない状態で身体介護を任されました。まだ仕事に慣れていないにもかかわらず、上司や責任者からは「仕事が遅い」「私が新人だった時はもっと早くできた」「時間内に終わらせられないのか」といった叱責を受け、2ヵ月目からは独り立ちするようにとも言われました。

入社してわずか2ヵ月で独り立ちは早すぎます。まだこの時期は先輩職員についてもらいながらペースを気にすることなく一つひとつの作業を丁寧にこなすべき時期です。

事前に告知せず急に辞めるのは問題ない?

労働者側から急に「今日で辞めます」というのは望ましい退職の形ではありませんが、法的には可能です。労働基準法には事業主から一方的に労働契約を解除する場合の規定が設けられていますが、労働者側から労働契約を解約することについては特に定めはありません。

就業規則等で退職に関する取り決めがある場合でも、民法及び労働基準法が優先適用されます。事前に告知せずに退職する旨を申し出れば、それ以降は出社しなくても労働契約は14日を経過すれば終了します。

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介護職ですぐ辞める人の傾向

介護職は誰でもすぐに辞めるというわけではなく、辞める人には特徴があります。ここではすぐに辞める人の傾向をみていきます。

将来のビジョンがない

介護の仕事に対して明確なビジョンがないまま介護業界に入った人は辞めやすい傾向にあります。明確なビジョンがないと、仕事でちょっと嫌なことや自分の想定外の仕事を任されたときにすぐに気持ちが萎えてしまうからです。

一方、明確なビジョンを持って入社した人であれば、嫌なことなどがあっても「どんな経験も将来きっと役に立つはず」と思うことができます。

たとえば介護福祉士の資格取得を目指している人であれば、介護施設での実務経験等の要件が問われます。そのような目標を掲げていれば、仕事で嫌なことや辛いことがあってもなんとか踏みとどまれるものです。

コミュニケーションを取るのが苦手

利用者に「このスタッフには世話してもらいたくない」と思われてしまうことがあるとすれば、その原因の一つはコミュニケーション不足です。サービス提供中に利用者の気持ちを考えずに一方的に仕事を進めた場合などが想定されます。

入浴介助中に「お湯加減はいかがですか?」などの声かけをしただけでも、利用者は安心するものです。そうしたことができていないと、他のスタッフと比較され「前の担当者の方がよかった」などと思われてしまう可能性もあります。

このように、コミュニケーションがしっかり取れないと普段の仕事がやり辛くなり、離職に繋がりやすいのです

体力がなく力仕事が苦手

介護職は見た目以上に体力が必要です。職場見学では想像できなかったような体力を必要とする仕事が日常的にあります。そうした仕事に耐え切れず退職する人も少なくありません。

入浴介助、移乗介助やおむつ交換などの身体介護は特に体力を必要とする業務です。入浴介助を一つとっても、利用者の体を洗うことに加えて着替えや整容(髪の乾燥や爪を切ること)などをサポートする必要もあります。そうした身体介護をしているうちに腰を痛め、仕事が続けられなくなってしまう人もいます。

臨機応変に対応するのが苦手

介護現場にはさまざまな場面に備えたマニュアルが存在します。そのマニュアルをしっかりと理解したうえで日々の業務にあたることになりますが、人間相手の介護現場ではマニュアル通りにいかないことも少なくありません。

特に認知症の利用者のケアをする場合、想定外の行動に対してマニュアルだけでは対応できません。そのような時でも冷静に現状を把握し適切な対応が求められるのです。しかし、マニュアルでは表せない臨機応変な対応をすることが苦手な人は自分に自信をなくしてしまい、離職しやすい傾向にあります

責任のある仕事を重く感じてしまう

介護業務は利用者の大切な命や健康を預かる責任ある仕事です。施設形態によっては夜勤業務の必要もありますが、夜勤の時間帯は人員も限られており、一人の職員にかかる責任も大きくなります。このような重圧に耐えられない人は精神的なストレスを抱えてしまい、退職してしまう傾向にあります。

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給与
パート・アルバイト 日給 24,000円~24,000円
勤務時間
21:00~翌9:00
仕事内容
府中市にある男性のご利用者様のお宅に訪問して身体介護、生活援助をお願いいたします。
(勤務時間:月曜日の21:00~火曜日の9:00)
※別室で仮眠もできます。
住所
東京都 町田市 小山町2598-5 メゾンファミーユⅤ101
京王相模原線 多摩境駅 から徒歩6分

すぐ辞める人がいるのは施設側にも問題がある場合も

介護職をすぐに辞めてしまう時、必ずしも労働者本人に落ち度があるとは限りません。事業主側に問題がある場合も考えられます。その具体的なケースについて見てみましょう。

新人教育体制ができていない

事業主側に新人職員を育てる風土がない施設が少なからず存在します。理由は施設によってさまざまですが、以下のようなケースが見られます。

  • 現場の人員が圧倒的に足りていない
  • そもそも教育する気がない
  • スタッフ間のコミュニケーション不足

 

  • あるグループホームに入社したBさんのケース

Bさんは入社日には業務内容や施設全体の説明などを受けましたが、2日目からいきなり現場に配属されました。スタッフはBさんを含めて4人で、他の先輩3人は自分の業務に追われてバタバタしています。

Bさんは具体的な手順を教わることなく「あれとこれを○○分以内でお願い」と指示を受けるだけの毎日。聞くところによるとこの先輩3人は入社して半年も経っていないとのこと。辞める人が後を絶たず常に求人を出している施設であることをあとで知りました。

このように、常に人手不足で離職者も多い施設では「どうせすぐに辞めるだろう」という理由から新人の教育体制を整えていないケースも一部あります

新人に対して多くを望みすぎる

新人を新人とは見ていないケースもあります。特に人手の足りていない施設でよく見られ、「これくらいなら新人でもできるだろう」と勝手に決めてつけて仕事を振ってくることもあります。

また、「新人は先輩の動きを見ながら自分で進んで学ぶものだ」といった考えを持つ人や施設もあります。新人が介護職経験者である場合には「経験者なら説明しなくてもわかるよね」と完全に放置される場合もあり、施設内で孤立してしまう人もいます。新人に対してこのような扱いをする施設の離職率は高い傾向にあります。

雇用契約をきちんと守っていない

事業主は労働契約の締結の際には雇用契約書を作成しそこに労働者の署名押印をする必要がありますが、雇用契約書の内容とは異なる条件で働かせている事業所もあります。雇用契約に違反すると労働基準法違反となり、懲役あるいは罰金が課されることがあります。雇用契約違反の例としては以下のものがあります。

  • 時間外・深夜割増賃金を支払わない
  • 雇用契約の労働日数を超えて労働させる
  • 十分な休憩時間を与えていない

また、時間外労働・休日労働をさせる場合には36協定を締結して労働基準監督署長に届け出る必要があります。雇用契約をきちんと守っていない事業所では労働者の士気も下がってしまい、退職につながるケースも多くなります。

威圧的な社員を野放しにしている

職場にはさまざまなタイプの人がいるものですが、威圧的な社員を野放しにしている施設は問題を抱えているケースが多いです。介護施設は人手不足のところが多いため、問題のある社員ほど仕事をするうえでの戦力となっている場合も少なくないのです。

人の悪口を平気で言う、暴言を吐くなど、威圧的な社員の言動はパワハラに発展するケースもよくあります。そのような環境では、せっかく「介護職として頑張ろう!」と入社した人でも仕事にストレスを感じ、退職に追い込まれるケースもあるでしょう。

すぐに相談できる環境ではない

入社したばかりの施設で不安や不満を感じることは多くの人が経験することですが、すぐに相談できる人がいるかどうかは非常に重要です。入社した職場が人に相談できる環境でない場合、疎外感を感じ、そこから逃げ出したくなることもあるでしょう。

厚生労働省が発表した「過労死等防止対策白書(令和3年版)」によると、令和2年度における精神障害の労災請求件数と支給認定が多い業種の第一位が「医療・福祉」でした。

介護職はこの業種に含まれ、他の業種と比べても精神面でのケアが必要なことがわかります。職場に相談相手がいない場合には自分で抱え込んでしまい、鬱などの精神障害を引き起こす危険性もあるのです。

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介護職をすぐ辞めたくなったら

自分に問題がある場合であっても事業主側に問題がある場合であっても、離職は大きな選択となるものです。決断をする前に何かできることがないかを考えてみましょう。

周りの人に相談する

離職を考えた場合、まずは周りの人に相談してみましょう。相談できる人がいるだけで安心感を得られますし、周りの人たちに支えられていることを実感でき、離職したいという気持ちにもブレーキがかかるかもしれません。

職場に相談できる人がいなければ、家族や友人に話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になります。また、行政や労働組合などが開設している福祉職向けの相談窓口を活用するのも一つの方法です

相談窓口には法律や制度について詳しい職員がいるので、パワハラなどで悩んでいる場合には解決の糸口が見つかるかもしれません。

異動を希望する

上司や施設長に異動願を出すのも離職を回避するためには有効です。同じ部署で働く先輩職員からパワハラ紛いの言動を受けていたとしても、異動先の別のフロアでは人当たりのよい別の先輩に指導してもらえるというケースもあります。

同じ職場内でも配属部署や職員間の相性次第では居心地の良い場所になることもあるのです。今の部署に居心地の悪さを感じているのなら、ぜひ一度上司や施設長に相談してみましょう。

別の事業所へ転職する

周りの人に相談したり職場に異動願も出したりしてもなお問題が解決しない場合には、別の事業所への転職を考えるという選択肢もあります。仕事のことがストレスとなって「食欲がない」「眠れない」などの症状がある場合、それは身体からのSOSサインです。

このような状態が継続すると心身ともに悪影響を受けてしまい、精神疾患などにもつながりかねません。あなたの健康を最優先に考えて行動しましょう。

退職の時期を職場に伝え引継ぎをしっかりと行うよう段取りをすれば、誰もあなたを責めたりはしません。別の事業所へ移ることで、きっとあなたが活躍できる別のステージが用意されているはずです。

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介護職を辞める時の手順

退職すると決めても「今日限りで辞めます」といったような即日退職ではなく、できる限り以下のような手順を踏むようにしましょう。社会人としてのマナーを守って円満に退職するのが理想です。

会社へ退職したい旨を伝える

まずは直属の上司に退職したい旨を伝えます。このとき直属以外の上司に先に伝えることは避けましょう。直属の上司が自分を飛び越えて退職の旨を他の上司に伝えたことを知ると、後々トラブルの原因にもなるからです。

また、退職理由は「自己都合」としましょう。会社の労働条件等を理由にすると引き止められた際に断りにくい可能性があるからです。会社の就業規則に「退職の場合には退職日の○ヵ月前までに上長に申し出ること」のような取り決めがある場合は、それに従って退職日を決めます。

退職届を提出する

退職したい旨を伝えたら、退職届を用意しましょう。退職届は絶対に必要なものではありませんが、慣習的に退職届を提出することが多くなっています。ボールペンを使用し白地の用紙に縦書きで以下の項目を書きます。このときの宛名は社長の名前を書き、退職理由は「一身上の都合」としましょう。

【退職届記載内容】

  • 退職理由
  • 退職日
  • 退職願を作成した日付
  • 署名および捺印

転職先を決める

退職を決意する前に次の転職先が見つかればよいですが、介護職として働きながら転職活動をするのは容易ではありません。

しかし、退職届を出したあとであれば退職日までは有給を消化しながらの転職活動もしやすくなります。時間に余裕のあるこの時期に、慎重に転職先を探しましょう。

業務の引継ぎを行う

あなたの退職後も滞りのない介護業務を実現するためには、後任者に引き継ぎをする必要があります。まだ後任者が決まっていない場合にはファイル整理や業務マニュアル作成などをしておくとよいでしょう。

離職に至る理由は人それぞれ異なりますが「転職して次こそは自分に合った職場を見つけたい」と思うのは誰でも同じです。

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