介護職には夜勤や夜勤専従という働き方があります。「夜勤の時間帯は利用者の方も眠っているし楽なのでは」と思われる方も多いと思いますが、実情はどうなのでしょうか。
この記事では、介護夜勤の業務は本当に楽なのか、また介護夜勤の業務内容や夜勤のメリット・デメリット、施設の選び方などを解説します。
目次
介護の夜勤が楽と言われる理由
なぜ介護の夜勤は楽だと言われるのでしょうか。まずはその理由をご説明します。
深夜帯の業務は少なめ
介護の夜勤業務が楽だと言われる最大の理由は、日勤と比較して残業が少ないためです。夜勤の時間帯は介護サービスの利用者の方の多くが就寝しているため、業務に集中しやすい環境です。
眠れない利用者の方やナースコール、センサーマットへの対応は必要ですが、レクリエーションやコミュニケーションを必要とする業務は日勤に比べて少なく、仕事をマイペースに進めたい方には夜勤のほうが楽だと言えます。
また、シフトによって勤務時間帯が変わるよりも夜勤専従で働いたほうが仕事が覚えやすいことも楽だと言われる理由です。勤務時間帯が変わると、同じ施設でもそれぞれの時間帯で仕事内容や段取りが異なる場合があります。
しかし夜間業務の場合は介護施設や事業所によって仕事内容が大きく変わることが少なく、どの施設でも似た業務が多いようです。同業他社に転職した場合も早く仕事を覚えられるでしょう。
入浴介助などがない
入浴介助やレクリエーションなど、日勤の時間帯でおこなわれる業務の多くは夜勤ではおこなわれません。特に入浴介助は体力も使うため、肉体的にも夜勤のほうが楽だといえるでしょう。
人間関係に悩みにくい
夜間勤務になるとスタッフの人数も日勤と比較して少なくなります。施設によっては一人で夜勤業務をおこなう場合もあります。
そのため、大勢のスタッフと連携しなければならない日勤と比較すると人間関係に悩まされる可能性は低くなります。わずらわしい人間関係から解放されるぶん利用者のケアに集中できるため、自らのスキル向上にもつながります。
勤務日数のわりに高収入
介護施設や事業所での夜間勤務には労働基準法第37条に基づき夜勤手当が支払われます。通常の25%以上が割増賃金として支払われるため、勤務日数が少なくてもそれなりの高収入を得ることができます。
また、介護業界全体の人材不足を改善するために処遇改善をおこなっている施設もあります。給与を増額したり手当を新設したりする施設や事業所も増えているので、チェックしてみましょう。
仮眠をとれる
夜勤の業務量が比較的多い特養や老健などの施設には仮眠室が設置されていることもあります。仮眠は休憩時間とは別にとる施設が多いようです。
現場でやるべきことをしっかり済ませておけば、合間を見て仮眠を取りながら自分のペースで業務をこなすことができるでしょう。
介護夜勤では具体的に何をするの?
次に、介護夜勤の業務の流れや具体的な業務内容、勤務時間について解説します。
出勤から退勤までの流れ
出勤したらまず日勤スタッフとの引継ぎをおこない、次に夕食準備や食事サポート、就寝準備に取り掛かります。
就寝後は見回りや安否確認などをおこない、必要に応じてトイレの誘導やおむつ交換などもします。朝方には起床介助、朝食の準備をおこない、日勤の方に引継ぎをして退勤するのがおおまかな流れです。
業務内容
それぞれの業務について、より詳しく見ていきます。
日勤スタッフからの引継ぎ
出勤後、日勤スタッフから、介護の際の注意事項などの引継ぎをおこないます。日中の様子や翌朝までにすべき業務などを確認しましょう。
夕食の準備・介助・片付け
食事の準備をし、食事中のサポート、片付けまでをおこないます。夕食介助はただ食事を食べさせればいいわけではなく、利用者の方とコミュニケーションを取る大切な時間ともなります。利用者の方への理解を深めることでよりスムーズな介助が実現しますので、ぜひコミュニケーションを大切にしましょう。
就寝準備の介助
歯磨きや着替え、トイレ同行や排泄介助、ベッドへの移動・移乗など、就寝の準備をします。
巡回・安否確認
就寝後は、安否確認も兼ねて1~2時間ごとの定期巡回をおこないます。寝返りが打てない方や自分でコールを押せない方もいるため、全室を巡回し、利用者に異変がないかをチェックすることが必要です。巡回時以外でも、ナースコールやセンサーコールが鳴った際には随時対応が必要です。また施設の異常の有無も確認します。
事務業務・掃除
就寝時間帯を活用して事務業務や掃除をおこないます。また休憩や仮眠もこの時間帯にとります。
起床介助
朝になったら、利用者の方を起き上がらせ、ベッドからの移動やトイレの介助などをします。洗顔や歯磨き、着替えや寝ぐせ直しなどの整容も起床介助の業務の一環です。
朝食準備・介助
起床介助と並行して、朝食の準備や配膳、朝食介助をおこないます。
日勤のスタッフへの引継ぎ
朝食の片付けが完了したら、夜間の様子・日中で対応が必要な業務などを日勤スタッフに引継ぎ、夜勤業務は終了となります。
勤務時間
介護夜勤には「2交代制」と「3交代制」の2パターンの勤務時間があり、それぞれ拘束時間が異なります。施設によって若干の違いはありますが、2交代制の場合は17時~翌9時の16時間拘束、3交代制の場合は22時~翌7時もしくは1:00〜9:00の8~9時間拘束が多くなっています。
拘束時間が長いため体力的な負荷が大きいデメリットがある一方、夜勤明けには休みを取得できるためリフレッシュできるメリットもあります。2交代制を導入している施設のほうが多いため、3交代制の勤務を希望する場合は施設の勤務体制を応募前に確認しましょう。
緊急時の対応
介護施設の利用者の方はご高齢者が多く、体調が急変することもあります。体調の急変は日中だけでなく夜間に起きる場合もあるため、緊急時の対応は夜勤スタッフが対応しなければなりません。また、地震などの災害が夜中に起きることも考えられます。
緊急時の緊急対応については施設ごとにマニュアルが用意されていますので、マニュアルに基づいた対応をおこないます。また、看護師や主治医にオンコールで指示を仰ぎ、場合によっては救急車を呼んで搬送の準備をおこなうことも必要となります。
給与
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パート・アルバイト 日給 24,000円~24,000円 |
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勤務時間
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21:00~翌9:00 |
仕事内容
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府中市にある男性のご利用者様のお宅に訪問して身体介護、生活援助をお願いいたします。 (勤務時間:月曜日の21:00~火曜日の9:00) ※別室で仮眠もできます。 |
住所
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東京都 町田市 小山町2598-5 メゾンファミーユⅤ101 京王相模原線 多摩境駅 から徒歩6分 |
介護の夜勤は楽で稼げる?
日勤にはないメリットが多い介護夜勤ですが、本当に楽に稼ぐことができるのでしょうか。具体的な収入イメージを見てみましょう。
夜勤手当の相場
介護の夜勤業務には手当がつくため、日勤専従よりも高収入となることが多くなっています。手当の金額は施設によって異なりますが、正社員で夜勤業務をおこなう場合、一回の出勤での手当の相場はおよそ4,000~8,000円程度です。
夜勤専従の場合の月収例
夜勤専従の場合の月給は、施設の種類によって異なります。
厚生労働省が発表した「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、介護職の平均月収は、最も高いのが介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で350,430円、最も低いのが認知症対応型共同生活施設(グループホーム)で287,770円です。平均で31万6,620円となっています(訪問介護、通所介護、通所リハビリテーションを除く)。
日給を上げるためには、スキルや知識を磨き資格を取っていくことも必要でしょう。
介護夜勤のメリット・デメリット
実際に働く前に知っておきたいのが、介護夜勤におけるメリットとデメリットですそれぞれにご紹介します。
介護夜勤のメリット
介護夜勤には大きく4つのメリットがあります。
1つ目は自分のペースで気楽に仕事ができることです。夜勤シフトの場合、スタッフが少ないぶん業務に追われ忙しいイメージがありますが、実際は日勤に比べて自分のペースで楽に仕事ができる時間が多くなります。
2つ目のメリットは、連休が多くなるため気持ちも体も楽に感じることです。特に2交代制の場合、一度の拘束時間が16時間もあり大変そうにも思えますが、夜勤明けの日とその翌日は公休日になることが多くあります。仕事の疲れをしっかり取り除けば、残り1日の休みでプライベートを楽しめるため、連休のような気分を味わうことができます。
3つ目のメリットは、業務量の割に楽に給料が増える点です。前述の通り、一回の勤務あたり4,000〜8,000円程度の手当が上乗せになりますが、深夜の時間帯は日勤ほど業務が詰まっているわけではありません。
4つ目に、通勤ラッシュを避けられるメリットがあります。夜勤シフトの場合は通勤時間がラッシュにぶつからない場合が多いため、精神的に楽に出社できます。
介護の夜勤のデメリット
介護夜勤にはデメリットもあります。
1つ目のデメリットは、昼夜逆転の生活リズムから体調不良になりやすい点です。食事も不規則になりやすく、ちょっとした原因で体調を崩す可能性があります。
また、夜勤スタッフが慢性的に不足している施設も多く、夜勤専従の人が休んでしまうと日勤スタッフのシフトを変更する必要があります。そのため、自分以外の人にも負担をかけるプレッシャーを感じてしまい、緊張感が抜けないという声も聞かれます。
2つ目のデメリットは、緊急事態に臨機応変に対応する必要がある点です。施設によっては常駐の看護師やオンコール体制をとっている施設もありますが、そもそも夜勤はスタッフの人数が少ないため、緊急事態が発生した際には率先して対応をしなければなりません。重要な判断を下さなければならない場面も想定され、常に気楽に仕事ができるわけではないことを頭に入れておく必要があります。
3つ目のデメリットは、必ずしも仮眠が取れるわけではない点です。2交代制では、休憩時間2時間を含めた16時間が拘束時間となっています。しかし状況によっては休憩時間や仮眠時間が確保できない場合もあります。
こうしたデメリットをしっかり理解したうえで、自分がこれらの状況に対応できるかどうかを冷静に見極めたうえで仕事探しをスタートしましょう。
楽な介護夜勤の探す時のチェックポイント
同じ介護夜勤の仕事に就くのなら、少しでも負担の少ない職場を探したいもの。介護夜勤を探す際には以下のポイントをチェックしてみましょう。
勤務時間
勤務時間は2交代制か3交代制かによって大きく変わります。ご自身の希望の勤務時間を間違わずに選択するようにしましょう。
仮眠時間の有無
拘束時間がより長い2交代制の場合は仮眠時間の有無も重要なポイントです。求人募集の内容だけでは休憩時間や仮眠時間がどの程度確保できているのかなどの実態がわからない場合がありますので、気になる求人があった場合は事前に問い合わせてみるとよいでしょう。
特に夜勤専従は完全に昼夜逆転の生活となるため、少なからず体への負担がかかります。働く環境や休息の取りやすさの確認は非常に大切です。
夜勤手当はどれくらいか
夜勤手当は高いにこしたことはありません。必ず事前に確認しましょう。一回の出勤での手当の相場はおよそ4,000~8,000円程度と前述しましたが、相場の中でも4,000円の差があります。
月に4回夜勤となったら月収では16,000円、夜勤専従で月10回働く場合は40,000円の差がついてしまいます。月間の夜勤シフト回数も考慮して施設を選ぶことをおすすめします。
緊急時の対応体制
緊急時にどのようなバックアップ体制があるかも施設を選ぶ際には重視しましょう。特に一人で夜勤をおこなう場合、バックアップ体制は非常に重要です。
緊急時にも電話で看護師や医師に指示を仰ぐことができたり、すぐに医師らが駆けつけてもらえるオンコール体制を採用しているホームが多くあります。また近隣に住むスタッフの方々が駆けつけてくれる体制の施設もあります。
逆に、一人夜勤にも関わらずオンコール体制が取られていない施設は「入居者の実態に即し、夜間の介護、緊急時に対応できる数の職員を配置する」という国の指針に反していますので、そのような施設は選ばないようにしましょう。
日勤対応の有無
夜勤業務に従事する前に日勤の業務で経験が積めるかも重要なポイントです。夜間に緊急事態や何らかのトラブルが起きた際にスムーズに対応するためには、まず日勤の業務によって介護業務への理解や知識を増やすことが必要です。いきなり夜勤を任されるような施設はなるべく避けたほうがよいでしょう。
介護夜勤はどの施設が楽?
介護施設には多くの種類がありますが、その中でもどの施設が夜勤において一番負担が少ないのかを考えてみましょう。
施設別の楽さ加減
まずは施設ごとの配置基準や給与基準が参考となるでしょう。夜勤職員の配置基準は施設の利用人数によって以下の通り定められています。
- 介護老人保健施設 利用者25人に対し職員1人以上配置
- 特別養護老人ホーム 利用者20人に対し職員1人以上配置
- グループホーム 利用者9人に対し職員1人以上配置
- 小規模多機能型居宅介護 利用者9人に対し職員1人以上配置
この配置基準を超える数のスタッフがいる施設であれば、ある程度気持ちに余裕をもって楽に仕事に取り組めるでしょう。
有料老人ホーム
有料老人ホームは比較的待遇が良い施設が多く、もらえる給与を考慮すると最も楽な施設といえます。その特徴は介護度の低い利用者の方が多い一方で給料が高い点で、夜勤1回で18,000円程度支給される施設もあるようです。また、介護度が低いため夜間のオムツ交換が必要ない利用者の方も多い傾向にあります。
デイサービス
デイサービスの最大のメリットは利用者数が他の施設と比べて少なく5人程度であることです。アットホームな雰囲気の施設が多く、過度の緊張を感じることなく楽に働くことができます。ナースコールやセンサーコールがないことも楽に働くことができる要因の一つです。
老人保健施設
老人保険施設は最も介護夜勤でメジャーな施設で、働きやすさと安心感の2つのメリットがあります。医療従事者が常駐のため利用者の容体が急変しても安心で、仮眠時間も確保しやすいのが魅力です。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは夜勤業務でも忙しい施設が多いため、給料が高めに設定されているケースが多いようです。一回の夜勤で17,000円ほど支給される施設もあります。ただし、忙しさのため仮眠の時間が取れない日もあります。
定期的なオムツ交換や体位変換が必要な介護度が高い利用者の方も多くいらっしゃるため体力も必要ですが、寝たきりの利用者の方も多くいる施設ではナースコールやセンサーコールが鳴る回数が少ないため、そのぶん楽に業務をおこなうことも可能なようです。
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介護夜勤といっても、アットホームなグループホームや小規模多機能型の小規模施設から特別養護老人ホーム、老人保健施設などの大型施設まで、その職場環境はさまざまです。また、一人夜勤なのか複数名体制なのか、ナースは常駐か、施設のバックアップ体制は十分かなどによっても楽に働けるかどうかは変わります。
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